冗談が冗談ではなくなる時、人は呆然と立ち尽くす

ベクトルが狂うのは毎度のこと - 遊星より愛をこめてで部屋の片隅に眠っていたChe-ez! Spyzに遭遇した私は確かにこう述べている。
保存形式はRAW(な訳ない
普通に考えれば35万画素のトイデジでRAW取得なんてあり得ない訳で、実際はChe-ez! Manager経由でBMPファイルをPCに保存していました(チーマネがRAWから現像してBMP化していたんだけど、それを知るまでは漠然とSpyzでBMPイメージをオンメモリしていると思いこんでいた)。またこのBMPファイルが超不鮮明ちゅうか、ギガジャギの白サチの偽色ポンポコピーで、相当サイズを小さくしないと公の場では観るに堪えない状態だったのです(個人で観る分には別に問題ないけど)。
人生、何が起きるか分かりません。
USBドライバについて色々と調べていると見慣れたキーワードが。
「Che-ez! Spyz」
Webカメラ関係のアレかなぁと寄り道してみると、そこにはRAW取得から現像する手段が記載されているじゃないですか。いや、Che-ez! Spyzの話じゃないだろうと疑って読むと。。。
マジですか?
正気ですか?
狂気ですか?
震えた。全米が震撼した。
そもそも、チーマネからはBMP取得であるため、Exifじゃない=OEM分かりませんてな発想の私。
STマイクロエレクトロニクスHome - STMicroelectronics
こちらのLCDCチップを使っていることも、
欧華電子 Welcome to AEL Home Page!!
こちらが同じチップを使ったデジカメ(DC-30U)を作っていて、そのユーティリティ(要はNHJのチーマネと同じ立ち位置)でRAWデータ取得が出来ることも知る由がありませんでした。

こちらがDC-30U
凄い感動。
一番感動したのは、dcrawのSupported Cameras最後尾に「STV680 VGA」の文字があることです(笑)
Decoding raw digital photos in Linux

Che-ez!Spyzに搭載されているSTV0680(LCDCチップ)のデータシート。

Che-ez! Managerで取得したイメージ。

欧華電子製LCDC DemonstratorでRAW取得し、dcrawで現像したイメージ。

[dcraw verbose]
Loading ST Micro STV680 VGA image from test.raw ...
Scaling with black 16,
multipliers 1.097000 1.000000 1.128000 1.000000
AHD interpolation...
Building histograms...
Writing data to test.ppm ...

パラメタを与えずデフォで現像したので、白バラがずれているけど明らかにチーマネの現像結果とは違う。

今回の閃き。
1.デジカメの現像データは現像処理に依存するため、同じ撮像素子を使っていてもメーカ毎に違う。
2.更に言えば、現像処理プログラムに依存する。
3.ベイヤ配列は結局補間が介入するため嘘のデジタルデータが混入する。
4.Foveon萌えでシグマDP1が期待されている理由。
5.トイデジCMOS/CCDの相違ではなく現像プログラムが「トイ」なのか。
6.少なくともトイデジユーザはRAW取得しトイ現像するプロセスが欲しいのではなく、オートなトイ現像を楽しんでいる(RAWからだと面倒だし)。
7.35万画素では画像が汚いという先入観念を払拭すべきだ。

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イカメはふざけて作っているのではない。
だけど、普通のユーザから見れば欠陥品だ。

ダメな子ほど可愛い理論のど真ん中。

トイデジの現像プログラマもきっと真剣に作ったに違いない。
だからこそトイデジは愛されるのだ。
予想もつかない露出パターン、ぶん殴りたくなるシャッタースピード、トチ狂った白バラ、振ればカラコロと音がしそうな安ぼでー。

本当、ダメな子ほど可愛い。

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参考文献・資材:
激辛計画
LCDC Demonstrator Digital Camera Technical Support
dcraw
STV0680データシートhttp://www.st.com/stonline/books/pdf/docs/8213.pdf
VLSI Vision Limited - datasheet pdf